市民と大学でつくるミニ天文台

やまがた天文台

柴田晋平
山形大学理学部「やまがた天文台」〒990-8560 山形市小白川町1-4-12
e-mail shibata@sci.kj.yamagata-u.ac.jp 
http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/yao/


Abstract------------------------------------------------
口径15cmの望遠鏡で運営している小さな天文台です。しかし、
中身で勝負です。市民NPO法人と大学が共同して運営し、宇宙・星空を
キーワードにして地域の科学文化の拠点を目指しています。
--------------------------------------------------------

1. はじめに

悲しいことに山形市には科学館も天文台もプラネタ
リウム館もありません。県や市に陳情して作っても
らう運動をすると言うのが普通の発想かも知れませ
んが、「なければ自分達で作っちゃえ」というのが
NPOの精神です。

小さな天文学者の会(以下、「小天(しょうてん)」は、
日本天文学会が1998年に山形で開催されたのをきっ
かけにできた宇宙や星空を楽しむ市民グループです。
現在の会員数は約150人で約8割が市民です。残りが
大学関係者、学生です。発足からしばらく望遠鏡も
持たずに活動を続けていましたが、上記の「作っち
ゃえ」精神で大学の一部の建物改築の機会に屋上に
ドームひとつとスライドルーフ2基を新たに作り、
一般解放するようになった天文台です(2003年)。

大学と小天は地域の科学教育の振興のために共同の事
業をおこなうという内容の覚書を交わし、市民が夜中
も大学に入って天文台を運営しています。 

2. サービス

提供しているサービスを紹介しましょう。まずは、毎
週土曜日の夜の一般公開です。ガイドツアー方式によ
る星空案内を一晩に2ー4回出します。ガイドツアー
は数人のお客さんをグループにして星のソムリエ(R)さ
んが、展示物から生の星空、望遠鏡による観察などを
約1時間のプログラムで行っています。質疑応答も活発
で評判の高い星空案内を行っています。天候に関わりなく
行っているので、曇メニューも充実しています。クイ
ズなどを交えた楽しい説明、工作したりと星のソムリ
エさんひとりひとりが個性溢れる案内をします。(案
内はこうしなければいけないというルールが無く、個
性を重視しています。)

4次元宇宙シアター(スクリーンサイズ4m×3m)を私た
ちは二つもっています。両方とも手作りです。定例で毎
月最終土曜日に一般上映しています。国立天文台の4D2U
プロジェクトによるMitaka(みたか)を用いた番組です
が、ただ mitakaを見せながら宇宙の構造などを説明す
ると言う使い方はせず、当初から物語りとしてエンタ
ーテイメントも考えた番組を制作しそれを上映してい
ます。すでに、20本以上制作されそれらを上映します。
また、小天内部に「劇団4次元」というグループがあり、
新番組の制作、ナビゲーター養成などをしています。 

施設は驚くばかりに小さいです。主力望遠鏡は
たった口径15cmの屈折赤道儀(4メートルドーム)。2基
のスライドルーフには20cmのミードと8cm屈折赤道儀と
太陽観察用のHαフィルターがついた4cmの望遠鏡ペアと
超新星発見で有名な山形の板垣公一さんからお借りし
ている15cmの双眼鏡などがはいっています。昼間は山
形大学インフォメーションセンターになっている小学
校の教室程度のサイズの部屋を夜間お借りして、パネル、
ステラーナビゲータなどを見せることのできるスクリ
ーンを置いています。

3. NPO法人小さな天文学者の会

「やまがた天文台」は山形大学理学部とNPO小天の共同
運営です。しかし、何と言っても小天の勢いが全てを
支えているといっても過言ではないでしょう。 

小天にはいくつかの小グループがあります。「やまがた
天文台」を運営に直接関わっているのは天文台グループ
で、独自の活動として奥地観望会で蔵王の山のなかのき
れいな星空を見る会や星空案内の勉強会などを行ってい
ます。先に出てきた「劇団4次元」もひとつのグループです。
天文学を基礎から勉強する「スタディールーム」というグル
ープ、小学生・中学生が集まった「ジュニアグループ」、
星空案内人資格認定の養成講座を開催する「やさしい宇
宙講座グループ」などがあります。それぞれ、やりたい
ように創意工夫しながら活動しています。

小天には出前授業(望遠鏡を作って観る」とよばれるワ
ークショップ、観望会、4次元上映など)の要請が年間十
数件寄せられるのでそれに応じてチームを組んで出前す
るのも重要な役割りです。

最新の天文学を紹介する「宇宙最前線講演会」、山形の
有名な植木市でおこなう街角観望会、七夕行事である
「ゆかたで天文台」なども重要な行事です。季刊で会報
も発行しています。全国に会員がいます。どうぞ興味の
あるかたはご入会ください。

データ
やまがた天文台
〒990-8560 山形市小白川町1-4-12 山形大学理学部
問い合わせ電話 023-628-4050 fax  023-628-4567
ホームページ
やまがた天文台 http://astr-www.kj.yamagata-u.ac.jp/yao/

毎週土曜日天候に関わりなく公開
4月〜9月(夏時間)午後7:00〜9:15
10月〜3月(冬時間)午後6:00〜8:15

JR山形駅より徒歩20分、タクシー10分


図とキャプション


図1 山形大学理学部屋上(やまがた天文台として毎週土曜日解放している)

図2 天文台レセプション(山形大学インフォメーションセンターを夜間、天文台受付にしている)

図3 星のソムリエによる星空案内(15cm屈折望遠鏡で)

図4 星のソムリエによる星空案内(屋上で)

図5 4次元宇宙シアター(毎月一回の上映)

図5 星空案内は晴れていなくても毎週実施されている(曇メニューも豊富)。